月夜の天使

「愛せない」


え・・・?

「僕は永遠に君を愛さない」

低く鈍いミズキの声。

ゆっくりとカナンを見上げるミズキ。

その瞳には、うごめく黒い影。

「消えてよ」

ミズキ!!!

「シオン、お前にやる」

ミズキはカナンの体をシオンに向かって突き飛ばす。

ドン!!

カナンはシオンの胸にぶつかり、シオンはすかさずカナンの腹を殴りつける。

「う・・・」

意識が遠くなる・・・。

「カナン!!!」

トオヤがシオンに走り寄る!!

ボッ!!!

咲いていた月見草から炎がほとばしり、トオヤの周りに炎の火柱を立てる!!

その傍らではミズキがゆっくりと微笑み、その熱い炎を見つめる。

「ミズキ、あとは宜しく頼む」

シオンがカナンをその両手に抱きとり、走り去る。

「カナーン!!!」

微かに、トオヤの呼ぶ声を聞いた気がした。

『愛せない』

カナンの心にその言葉が刃のように突き刺さっていた・・・。