月夜の天使

ドス!!!

ミズキの瞳が見開かれ、宙を見上げる。

その胸にはグッサリとナイフが刺さっていた。

倒れていたはずの運転手が、ミズキにナイフを突き立てニタリと笑う。

男はもう片方の手をミズキの心臓にもっていく。

「や!」

カナンは無我夢中でミズキに走り寄る。

「やめてー!!!」

シオンがカナンの腕を引き、その胸に捕らえる。


『月へ・・・』

カッ!!!

隠れていた月が雲を払いのけ、宇宙の彼方から虹色の光を解き放つ。

海よりも空よりも美しいアイスブルーの瞳。

『アイシナサイ。愛しい人をアイシナサイ』

『カナン、汝の愛は永遠なり!!』

護りたい・・・!

ミズキ、あなたを護りたい!

『あなたを護るためなら、カナンはなんだってするわ』

トオヤは、カナンの青の瞳に吸い寄せられる。

カナン・・・俺は君の瞳に何百年たっても魅せられている。

「カナン、これが君の力か・・・」
シオンは手を振り払おうとするカナンをゆっくりと離す。

「ミズキ!!」