月夜の天使

「カナン、こちらへ来ないか?」

シオンがゆっくりとカナンに近づく。

カナンはミズキの背中にしがみつき、シオンをにらみつける。

「殺しはしないよ。君と永遠に生きたいんだ」

「嫌よ!私が共に生きるのはミズキとトオヤだけ!」

ザ・・・。

シオンが立ち止まり、ミズキと瓜二つのその顔で不敵な笑みを見せる。

「君は、選べないはずだ。ミズキもトオヤも・・・。違うか?」

選べない・・・?

ミズキとトオヤ・・・。

「ミズキ、お前もカナンを受け止められないだろう。カインに戻っていくお前は、カナンを幸せにすることなどできないのだからな」

ザシュ!!

トオヤのカマイタチがシオンの頬を切りつける。

頬に滴った血をなめるシオン。

「トオヤ・・・」

シオンの青い瞳に黒い影がうごめく。

カラスが一斉にトオヤに襲い掛かる!!

「トオヤ!!」

ミズキの瞳が青く輝きその体から閃光がほとばしる。

「ギャー!ギャー!!」

カラスたちがボトボトと砂浜に落ちていく。