月夜の天使

グッ!!

ミズキはカナンを自分の背中の後ろへ回す。

「カナン、君は強い人だ。僕がいなくなっても、決して死のうなんて思わないで」

「ミズキ、だめよ!!」

ミズキは死ぬ気だ。

「君の中に僕は永遠に生きる」

運転手がミズキの胸に手を伸ばす。

いや・・・、いや!!!

ミズキを助けてー!!!


ザン!!

斬りつける風。

男の腕から血がしぶきをあげて飛び散る!!


闇に、氷のように輝く蒼の瞳。

トオヤ!!!

トオヤは、ゆっくりとミズキに向かって歩いてくる。

「ミズキ・・俺達はここから始まったんだよな」

ミズキは夢から覚めたような表情でトオヤを見つめる。

「始まりには・・・終わりがあるよ」

ザザン!!

月に雲が徐々に近づき、月がその顔を隠し始める。

ザ!!

「月が目をそらしているうちに、そろそろ終焉の時を迎えようか・・・」

シオンの青い瞳が、月に導かれた3人を見つめる。

「シオン!!」

終焉の時。

月はその神秘のエネルギーを誰に与えたまうのか・・・。