月夜の天使

『聞いたぞ・・・』

頭の中におぞましい声が聞こえる。

『ミズキ・・・お前の魂をいただく!』

ザ・ザ・ザ・・・。

砂浜を蹴る足音が徐々に近づいてくる。

暗がりから男の姿が現れる。

ミズキはカナンを引き寄せる。

「・・・お前か」

「さっきの運転手!!」

海まで乗ってきたタクシーを運転していた中年の男が青白い顔でミズキに笑いかける。

「その人から出ろ!」

そうか・・・この人は魂を乗っ取られたんだ・・。

「封印を解く方法、しっかりと聞いたぞ。ミズキ、お前を永遠に葬り去れば、カナン、お前も生きてはいられないだろう・・・。心が傷つき、封印が解けたその時が、カナン、お前の最期だ!!」