月夜の天使

4歳のいずみが赤いスカートを翻し、カナンを案内する。

「カナンの部屋はここよ」

2階のその部屋は、オレンジの色調の優しい雰囲気の部屋で、ベッドと机が置かれていた。

「私の趣味でまとめてみたの。カナンはここを好きに使って」

「カナンがここに住んでいいの?」

「カオリが残した家だもん。トオヤもいるし・・」

そう言っていずみは意味ありげに笑う。

トオヤと一緒に住む。

孤児院では一緒に住んでいたけど・・・。

「トオヤの部屋は隣よ。あ、私は1階に住んでるからお邪魔はしないわ」
その含んだ言い方にカナンはますます疑いを強める。

「あの、ほんとに・・・いずみお姉ちゃん?ちょっといじわるになってない?」

「そうかなぁ?」
そう言って大きな瞳でかわいらしく見上げるいずみの笑顔は、無邪気な天使そのもの。

・・・二重人格だ、この子・・・。

カナンは、この少女が誰であれ、もうどうでもよくなっていた。

この少女は、カオリがいなくなった寂しさを癒してくれる。

そんな気がしたから・・・。