月夜の天使

日が落ちるのが早くなり、部室までの道はかなり薄暗くなっていた。

「十夜、今日はちゃんと演らなきゃだめよ。久世さん、十夜に期待してるんだから」

「わかったよ」

「あれ?部室まだ誰も来てないのかな?電気ついてないね」

「ほんとだ。久世のやつ、早く来いって言っといて」

ガラ・・・。

薄暗い部室のドアを開ける。

誰もいないみたいだ。

加奈は電気をつけようとスイッチに手を伸ばした。

「加奈、待て!」

十夜が加奈の手をつかんで止める。

「なに?十夜」