「お待たせ致しました“ミント・クーラー”です」




あたしは出来上がったカクテルをお客様に差し出す。




お客様は頬をほころばせながら、カクテルを飲む。




すると宇野くんに肩をトントンと叩かれた。




「どうしたの?宇野くん」




「……いや、なんか元気ないなって思いまして。また何かあったんですか?」




さ、さすが宇野くん…。
鋭いなぁ……。




宇野海斗くん。




あたしより2つ年下の21歳。




彼はあたしが自分の店を出した時、一緒についてきてくれた。




“俺も乃愛さんのようなバーテンダーになりたいから”




そんな嬉しいことを言って。




しかも宇野くん、ルックスも良いし、作るカクテルもめちゃめちゃ美味しいから、彼目当てでいらっしゃるお客様も増えてる。




やっぱり頼れる後輩クンがいてくれると助かるよね。




しかも彼は今、以前あたしと優人さんの仲を良く思っていなかった上田アユミさんと付き合っているのだ…。




上田さんと付き合っているのを聞かされた時はホントにびっくりした。




だってあの時、上田さんを追い出したのは宇野くんだったから。