すると目の前には箱を持った男の人が立っていた。
背は優人さんよりは低い。
年は……30代前半くらいかな?
「こんにちは…。隣に越して来た池田と申します。引っ越しの挨拶に来させて頂きました」
「あ…こんにちは!長谷川です。よろしくお願いしますね」
あたしはペコッと頭を下げた。
「はい。よろしくお願いします。あ…これ、つまらないものですが……」
池田さんは手に持っていた箱を差し出してきた。
「あ、ありがとうございます!わざわざすみません」
あたしは遠慮がちに箱を受け取った。
すると池田さんはいきなりあたしをジッと見つめてきた。
え…?
何……?
「あ、あの…」
あたしはおずおずと池田さんに声を掛ける。

