だけど、その姿は彼の本来の姿ではなかったの。


そのことに私が気付くのはもっとかなり後のことだった…。



私と彼はほとんど接点などなかった…。


ただのクラスメイトで、

クラスメイトとして軽く言葉を交わすことくらいの関係だった。


でも、そんな関係はそれから間もなくして変わることとなる。


ある日ボーっとしていた私は、階段まで来ていたことに気付かず、

踏み出してしまい、階段から足を滑らせて仕舞った。


そんな私を受け止めてくれたのが彼、酒山 拓也だった。


その日から少しずつ話すようになり、彼は私を気に掛けてくれるようになり、

私の意識し始めていた。


彼の新しい一面を見る度、優しい一面に触れる度に私は彼に惹かれて行った。


そんな私が彼への想いを自覚するのにそう時間は掛からなかった。