そのままの状態で10秒が経過した。




流石に気まずくて話しかけようと口を開いた瞬間、丁度手首の辺りに冷やりとしたものが触れた。


そして、一瞬遅れて痛覚というものが脳に届く。




「いっ……!」


あまりの痛さに小さく悲鳴のような声が漏れる。




俺にこんな痛みをもたらしている本人はというと、何食わぬ顔で俺の手首をガッチリと固定し全く離す素振りが無い。


昨日掴まれた時と同じように、いくら振りほどこうと手に力を込めてもビクともしない所が何とも腹立たしい。