「んー!気持ちいい!!」


和泉くんとの思い出の場所――屋上だ。



誰もいなくて、風が心地よくて。

以前にお弁当を食べた時からお気に入りの場所になっていた。



「……はぁ。私ってダメだな……。いざって時に役立たない」


「何が役立たないの?」



「ふぇ!?」



聞き覚えのある声に思わず私は振り向いた。


「くす。そんなに驚かなくても」

「い、和泉くん……」

「本当、君って予想通りの行動するよね」

「え……単純ってこと?」


「ううん、可愛いってこと」



ニコリと王子様スマイルで言われると、本当に困る。
ドキドキしちゃって、顔が赤くなっちゃうから。


「そうやって照れてる君も、可愛い」

「は、恥ずかしいよ……」

「ふふ、こういうこと言われるの、嫌い?」


「……嫌いじゃないけど、慣れてないから……」


「そう?」



彼がニヤリと笑う。一気に纏っている雰囲気が変わったような気がした。