次の日。
和泉くんはいつもの様に登校して来た。

風邪だったんだ、ごめんねって。
みんなに笑顔を振りまく『みんなの』和泉くんに戻っていた。


そう私にとっての和泉くんもこの、笑顔だった。


なのに、なんでだろう。


あの雨の日以来―――。


彼が、何か、

何か重要なことを背負っているんじゃないか?
悩んでいるんじゃないか?


そんな気がしてならないのだ。


私が力になれることなんてないし、
ましてや顔も可愛くなければ、頭だってよくない。
唯一得意なことは、お菓子作りと……犬の散歩?


そんな何処にでも居るような私が頼りになることなんて
役立つことなんてないって分かっているのに、


気になって仕方ない。


彼の力になりたいって思っている自分がいた。


笑顔を振りまく彼を見ているとなぜだか辛くなるのだ。
必死に仮面を被っているみたいで――。