「ああ、ごめんね。天宮さんにまで迷惑かけて。 じゃあもう僕は行くよ」 「え……傘持ってないのに……」 「大丈夫、僕、実は持ってるんだ」 和泉君は濡れた鞄の中から、折りたたみ傘を取り出す。 持っていたのに、ワザと差さなかったってこと……? なんで。どうして。 聞こうと思ったけど、聞いてはいけないような気がして、私はただうつむくことしかできなかった。 「車、呼ぶから君は心配しなくていいからね」 「い、和泉君……」 和泉君はそう言って、すぐに来た高級っぽい黒い車に乗り込んでいった。