…………そして。
退屈な授業もあっという間に終わり、昼休み。



「転入生ちゃーんっ！……どこ行くの？」


一条君は昨日の出来事から少しだけ仲良くなった。
なんでも、『俺、転入生ちゃんのこと気に入った！』……らしい。


正直ノリについていけないし、見た目も怖いけど……でも朝も挨拶してくれたり、声をかけてくれるようになったんだ。

だけど和泉君の手紙の約束は一条君に言っていいのかなあ？


――女の子にバレたら、怖いから曖昧にごまかした方がいいよね。


「あ、ごめん。私、ちょっと……」


私は口だけで笑うと、お弁当とクッキーの袋だけつかんで廊下へと出た。

後ろから一条君の声が聞こえたけど、聞こえないフリをして屋上へと向かう。