「そのお弁当、美味しそうだね」


隣の席にいる――和泉君がニコリと爽やかに笑う。

そうだ。いつも、和泉君だけは私に挨拶をしてくれたり、転入生の私に教科書を見せてくれたりした。


だけど、男の子だし、いつもクラスの中心にいる和泉君に私は積極的に言葉を返すことはしなかった。


だって、男の子……苦手……だし。



もちろん和泉君は良い人って思ってるけれど、苦手意識をふっ切ることなんて出来なかった。



「あ、ありがとう」


短く言いきると私はまたお弁当を食べ始めた。