それに、呼んでみただけって言えば。

「あっそ」だって。


吾妻くんだいすき。



――いつも通り、私の家まで送ってくれて。先程まで繋いでいた手がゆっくりと離される。

この瞬間……、嫌いだなあ。


だだをこねるような幼稚なことは出来ないので。吾妻くんを見上げて目で伝えようと試みた。

そしたら、さ。


「ん?どうした萌。」


なーんて。甘い声で微笑んで囁くから。

今日は私が負けちゃったじゃん。本当は、吾妻くんに私を好きだって言わせるつもりだったのに。



その顔、反則だよ…。



ぐっと制服のカッターシャツの襟元を勢いよく引っ張れば、「うわっ…、」って驚いたような声。


私の顔の前まで吾妻くんの顔を近付けると、にっこり笑って見せた。


「吾妻くん、好き。」

「っ…!」


目を見開いたと思えば、次の瞬間には一気に頬を赤く染める吾妻くんが可愛くて。


「好き。大好き。」


もう一回言ってやった。