「零音!落ち着けよ!!!!」




兄に胸ぐらを掴まれたと思うと、フワッとした感覚がした。







あったかい‥‥。




「最近お前がおかしいのって‥あいつ等のせい?」




最近‥‥おかしい?




抱き締められた強さが増す。


楓斗とはまた違う香りがした。


女の子を惑わす香り




頭がぐるぐる空回り


無駄に多くでる止まらない吐息


震えた身体





私が私じゃない。




こんな狂った人



私じゃない。





「ぅ‥‥違う‥、私じゃない」




「‥‥え?」




兄の小さな声がガラスのように頭に突き刺さった。




痛い痛い痛い