私が、表情を曇らせて何も言おうとしないので、エリはさっと話題を変えてきた。


「まあいいわ。それより、見た? 新しいクラスが職員室の前に張り出されてるよ」

「えーー!? 見たい!!」

「ミク、理数系だから、周り男子ばかりだよ」

「やったぁ」

「いいわねー。黙ってても女子はモテるクラスだもんね。――あ。そういえば、シマも、ミクと同じクラスに入ってたよ」

「えっ? そうなの?」


シマ…シマか。


彼は、私に優しかった。
あれが、本物の、恋する人の目だった。
いまとなっては、懐かしい。


私は、なにか大切なものを、失ってしまったんだと気がついた。


でも、もう遅い。
シマは、坂井さんと、もう新しい関係をつくっているのだ。