「うわ~。珍しい! ミクが酔っ払ってる」


エリが、叫んでいるのが聞こえた。
私は、ビールを、結局3杯飲んでしまった。
横で、ナカイくんが、せっせとコップに注ぐからだ。


「おい、ナカイ、やめろよ」


聞きなれた声が聞こえる。
シマだ。


「少し横になって。…あーあ。なんで、こんな無茶したんだか。おい、ナカイ、おまえ、責任とれよ」

「えー。俺、たった3杯でこんなになるなんて、思ってなかったし」

「ミク、大丈夫か? ナカイの横にはもう座るな」

「ひどい言い方だな。もうしないって」


シマの手が、優しく私のうなじに触れて、そっと私を座布団の上に寝かせる。
私は、彼って、ほんとうに面倒見がいいなと思った。


その後、私はどうやら眠ってしまったらしく、エリに起こされて、店を出たときは夜の10時になっていた。
こんな姿で、家に帰ったら、何を言われるかわからない…と、思いながら、私は、冬の空の下を、エリに送られてフラフラと歩いた。