その人はクスクス笑いながらあたしを見る。



「そんなに怯えないでいいじゃん。用がないと話しかけたらいけないの?」
「…離したくないのよ。あなたとは。…だから、用がないときは話しかけないで」


あたしがいっても馬鹿にしたように笑いながら、


「…やだなあ、前みたいに玲で呼んでもかまわないよ?」


玲は言った。



「……もういいから…話しかけないでくれる?」


ため息まじりに言って頬杖をつく。



「……用はあるんだよね」
「………なら、何?」



たっぷりの沈黙のあと凛は問う。



「…ここじゃ話せないからちょっときてもらってもいい?」



そう言うと、玲は教室を出ていった。