◇ 穂高は、大切なプレゼントを握り締めたまま、月夜ヶ橋まで来ていた。だが、見上げた空に、満月はない。 「やっぱ、今じゃ無理かも……」 そう呟いた時だった。 「信じられるかよっ!!」 穂高の背後から、涙声とも取れる叫びが飛んできた。 ゆっくりと振り向いたそこには、息を切らした高志がいた。 「高志、何でここに?」