「僕には愛する女性がいました」
「母親か?」
「違いますよ。僕の片思いの相手です。とても綺麗な女性でした」
「女性、か……」
先生が考えるように唇を指で触れた。僕の姿を再確認し、そういうことかと一人で納得したらしい。
「忘れられない殺人とは、その愛する女性なんだな」
「ええ。殺すつもりはなかった……なんて言っても馬鹿丸出しなんですがね」
膝上にある手を揉む。
「感触が消えないんですよ……。彼女も刺殺したんですが、刃を突き刺す感触がまだ手に残っている。
ただでさえ、彼女を殺したのに後悔ばかりがつのって悲しいのに……殺した記憶が、消えない……」


