右目に刺さったままの万能包丁を抜いた。 一家に一本は必ずあるお品ものでも、人を殺せる凶器となる。 じゅうとーほーいはーん。いえいえ、今買ってきたものですの。その赤いのなーにー。あらあら、切れ味を試すためにマグロを解体したせいね。……無理か。 要は職質されなきゃ良かった。 僕が住む木楽(きらく)という町は、夜になればお巡りさんも通らないという田舎町である。