方向音痴じゃないはずだ。住所を即興ソプラノで歌うことができるぐらい音痴ではない。
絶対にこのあたり、けど、病院らしきものがないんだよな。
夏天候で明るい風景は、似通った建物ばかり。東洋外観が去り、現代の西洋文化輸入を物語るクリーム色系のオサレな感じだ。クリーム系は肌色、肌色と言えば人間色にしか見えない僕は、オシャレとは言わずにオサレとわざとらしく言ったが。
「あ、すみませーん」
近場にいた買い物帰りの主婦を呼び止めた。荷物持ちますよと紳士をするために呼び止めたわけじゃない、どう転んでも僕は決して紳士にはなれないだろうしな。


