タイヤみたく丸まった男の死体を、近くの墓石に立て掛けた。 ホタル火の集合体みたいな月夜が、墓石の卒塔婆の文字とあびょーんな男の死体を照らす。 夜でも蒸し蒸しする季節。一日おけば、届かない場所にあり放置され続けたカキみたく、死体は腐乱するだろう。 我よ我よとプンプン虫と言われる羽虫が集るに違いない。 まあ、見なきゃいいだけ。 「よいしょ」