今日も今日とて僕は僕をコロシます



男の荒い息。小柄な僕は押し倒された。指が服の中に。大人しくしてれば痛くしない、猫なで声が失敗した泥水みたいな声。僕の下半身にかぶりつこうとしたので、チョキして相手の目を潰した。豚の鳴き声。指先につくジェルの塊。ぐちょりと、ねちゃりと、納豆みたく粘りけと糸を引き、火だるまのごとく転げる男に包丁を。突く、突いた、貫いた。脳の隅には思い出の中の想い人。感触が重なる。どうして肉は切っても切っても同じ感触なのか。思い出す想い人。違う――「違うんだよ、僕がしたいのは。ごめんね、許さなくていいからごめんなさいね。ここ通りますよー、包丁が目玉通りますよー」もっと気持ち悪い感触ならば、あの感触も忘れられると思った。まだ足りない、違わない、同じだ、なんでこうも同じなんだよ、ちくしょうが、これじゃあこれじゃあ――