ただいまがあるからではなく、最後まで先生は僕を受け入れてくれたことが改めて身に染みて嬉しかった。
あとの言葉はない。
名残惜しささえ、もう先ほどの抱擁で溶かされた。
背を向けた。
なのに、先生が未だに僕を見送ってくれるのが分かる。
涙を拭いた。
きつく痛く、眼球はもはや涙製造機に成り果て、拭いても意味ないのに――指先で払拭したのは一抹にあった悲しみ。
別れは辛くも、心残りは溶かされたんだ。辛さもこの涙でおしまい。
嬉しさの涙ならまだ流していいだろう。それもまた、あの刑事さんに会うぐらいには止まるものだけど――この雑じり気ない水面みたいな心に波紋は一切ないまま。
取り乱すことなくこれからを受け入れ、全てを話そう。
僕がしたこと、自業自得が返ってくるのを怖がらずに。


