小狐丸に教えられたこと。僕はもう前みたく誰も殺せない、と。後は殺されるのを待てと宣告されたようだ。
思いだけの自己完結では『まだ心の隅に』なんて、また自分に咎を持たせるところだったが、小狐丸がなくなったことではっきりとしたんだ。
僕にもう小狐丸(殺意)はないんだ、と。
「ああ、ちょっとだけ失礼しますね」
これでダメだと言われてもやるけど、先生は何も言わず、僕の行動さえも予見していたか、特に止めることはしなかった。
ケータイを取り出す。片手打ちでピコピコと。
『今までありがとう。遠くに行ってくる。
PS、あんまり泣くなよ』
宛先は雫に。
紙飛行機が飛んでいくムービーが、送信完了の文字になるなり、ケータイを折った。
一度やってみたかったんだよねー、これ。僕の力でも折れるんだから、案外モロイな。
吐き出された内部のコードを引きちぎって、地面に捨てた。踏もうかとも思ったが、あまりやんちゃしてはいけないかなと自粛する。


