「寄り道……というよりも、少し頼まれごとをしましてね。付き合ってもらいたい」
愛の告白ですかと冗談言えない渋みには、「はあ」と気の抜けた返事をした。
刑事が僕を拉致るなんてこともない。警察が起こす犯罪があっても、見ただけで安心をもたらすようなおやっさんにそんな心配も要らないだろう。
スバル360(てんとう虫)でドライブもまたかっこよくていいかと、僕はシートにもたれかかった。
住宅街を抜けて、人も店もない自然の風景に変わる。
ギラギラと照りつける太陽にめげず、二酸化炭素を吸いまくっているたくましい植物たちがはびこる景色には見覚えがあった。
「ここ……」
車が停車したのは路肩。歩道と車道の線引きがされていない、コンクリートの亀裂に雑草生える廃れた道の脇。
古い和風民家が一つ。見るのはこれで二度目となる、魔法使いの家だ。


