「飄々としてんのも、今のうちだ。いくら違うかもしれないとは言え、“狭まった”には違いない。
それをもとに、裁判所に申し立てなんだりすりゃあ、ガサ入れでも、指紋採取でもできるさ」
「受理されるといいですね」
「されるさ。いくら重要参考人だとしても、あんたが“一番近く”にいるのは確かなんだからな。――逃げても、捕まえるぞ。必ず。私は犯罪者がたむろう世の中は嫌なんでね」
「警察の鑑ですよ」
ええ、本当に。と席を立つ。
重要参考人である以上、警察に僕を勾留する義務はなく、またいつまでも“捜査に協力する必要”もない。
失礼しましたと言い立ち去る僕を止める人はいなかった。
ただ。
「送っていきますよ。遠いでしょう」
取調室から出た際に、刑事さんがまたうやうやしさを出しながら言ってきたが、白々しく見えたのはきっと僕と似たような笑みを浮かべていたからか。
腹の探り合いのよう。何を企んでいるかは知らないが、別にいいや。
僕は捕まるし。


