「そうですね。だとしたら、とても悪知恵が働く奴だ。ただね――それを当てるあなたも十分に頭がきれる方だと思いますが」
刑事さんが椅子から立ち上がり、僕の横に来た。
詰めでも入るつもりか、もうその顔は厳しいもの。
「だとしても説明できない部分がありました。ゴミ袋の中身を調べたさいに、竹山と“もう一人”。誰とも分からぬ指紋があった。
データベースにないとなれば、逮捕歴もない奴の指紋かと思うんだが」
刑事さんの声が徐々に重々しくなっていく。
「柳葉さん。あなた、今まで指紋取られたことありますか。なければ、“今後のために”採取をしたいのですが」
「――、クッ」
腹がむずむずした。
「クッ、ハハ」
それに合わせて声を出せば、笑い声となる。
おかしくてたまらない。完璧に、はめられた自分の間抜けさに。


