「確か……」
「小鳥遊(たかなし)さんの時は色々とご迷惑おかけしましたな。またこうして私が事情聴取する羽目になるとは、いったい何の巡り合わせでしょうねぇ」
シワがある目元を細目ながら刑事さんは言う。
小鳥遊さん。
僕が殺した愛する彼女。
その時もかけつけてくれたのはこの刑事さんだった。……なのに、名前を忘れちまったよ。
顔は覚えているのに名前が出ない。ド忘れだ。
「ええと……、こっちにもいるんですね」
「ん、ああ。私は色々と県から県へとはしごしているものでしてね。転勤やら、何か大きな事件があった時やらに呼ばれたりと、まあ、階級が低くても経験あるとして上にいいように使われているんですよ」
前に会ったときは県外だったから、名前出ないのを誤魔化すためにそんな会話をした。


