「な、なんなんだ、お前は……!だ、ぶひゅ、誰も来るなって!」
「来たのは私の判断でありソウは悪くない。いやな、家族が交通事故にあったとかそんな重要な事情があって私との約束を破るのは致し方ない、大人しく身を引こうとさえしたが――さすがにこれは介入せざるを得まい」
先生が一歩踏み出して、心臓が飛び出そうになった。
予定外の訪問者に殺気立っている今の豚を刺激すれば、雫が危ない。
「せ……っ」
「現段階、私はソウの手を掴んでいる。よってお前には味方しない」
「な、何をごちゃごちゃとっ」
「私は聖人君子の“なりそこない”でね。全てに味方はしないが、全てをなるべく救ってやるさ。
まだ罪は軽い。殺人なんかすればお前の背には抱えきれない罪が乗るぞ」


