チンピラのケンカみたいだった。
いくら殺人鬼と言えど、僕自身は非力であり、簡単に殺せたのは凶器と殺意のおかげ。
今は殺意しかないが、拳の悲鳴に歯を食いしばれば耐えれるほど大きな感情。
「ぶっ、ひぎ……!」
まさにこいつらしい鳴き声をあげて、もう終わりかと思って――
「がっ」
腹部に鈍痛。
衝撃から尻餅をついて、背中を畳につけた。
ヨダレを飛ばし、暗転しそうになった意識を前に向ける。
天井から畳へ。
四つん這いになって雫に駆け寄る豚を見た。
「っ……」
「う、うう動くなぁっ」
ぜえぜえと息を、鼻水を出しながら豚は雫の首を締めた。
「やめっ」
「動くなっつてんだろぉ!」


