僕以上に幸せになってほしい人が泣いちゃダメなんだ。
雫を捕まえた奴は僕の“境界”を越えた。
僕の命ならまだ許せた。だというのに、そいつは命以上に大切な雫を拉致しやがった。
「許せるか、どちくしょうが!」
あー、ほんと言葉遣いが悪い。
僕の人格が疑われてしまうだろうが、雫が誰かに泣かされただけでも殺意がわくのに、そいつは言った。
『ぐちゃぐちゃする』と。つまりは危害を加えようとしている。とんだクソ野郎だ。
殺意の奔流が血液となってたぎる。実際に全力疾走を休まずしているからか、今にも倒れそうなほど辛い。
すごいなぁ、人間、怒りと殺意で限界突破できるんだわ。
小狐丸がいたらさぞや満腹になる殺意だろう。


