『木楽東団地、A棟の305で待っている。警察に言ったら、ぐちゃぐちゃにする』
ツー、ツー。
「……」
ツー、ツー。
「……」
ああ、いや、思考止まった。ツーツーなる電話を切って、着信履歴を見た。
紛れもない雫からの着信だ。ただし、雫のケータイからの、が入るが。
ケータイの持ち主は雫。だが必ずしも、雫にしか使えないケータイというわけではない。
今時ケータイなんか誰でも使えるだろう。スマフォになったら危ういが、雫のは普通の型。誰でも通話できる。
“野太い声した誰か”は難なく雫のケータイから僕に通話してきた。
「ソウ……?」
耳にやけにこびりつく嫌な声だった。
「どうかしたのか」


