「さすがにン十万の壺を買うわけには行きませんよね」
「ああ。あまりに綺麗な念が宿った壺を見たら即買いに違いない。自身でセーブができないと分かっているからこそ、あえて骨董品巡りはやめたんだ」
「やめたってことは、前はしていたと」
「反省はしたが、後悔はしていない」
先生のお茶目を見た気がした。ン十万だか、ン百万だかを買ったに違いないな、これは。
ご愁傷様ですと言いながら、僕は先生の顔色を伺う。
とても綺麗な美形美人と同じ意味らしき言葉を連ねるほど、いつもの表情だ。
あんなことがあったのに。
まあ、それは僕にしてみてもそうだった。
先生に心を抉られた時は我を見失ったけど、時が経てば、今のように普通に喋れた。


