引きこもりだから金は使ってなかったため、一万円札と千円札が二枚。リッチだ。
アイスも買っちゃえと諭吉に甘い誘惑をかけられている時に。
「買い物か、ソウ」
背後から声をかけられて、危うく財布を落としそうになった。
「ありゃ、先生」
黒い膝丈ズボンに、白ワイシャツを着た普通ファッションの先生がいた。
ヒールが高いパンプスでくるぶしが骨張ってて、マニアックな趣味な人がヨダレ垂らしそうな足がこちらに近づく。
「先生こそ、買い物ですか」
先生の右手にはビニール袋があった。
細い指が持つにしては少々大きいそれを、ああと先生は軽くあげる。


