ずるゅと窓に赤い染みを塗りつけ、動かなくなるA。
「なっ、え……!」
フロントにまで血は飛んだらしく、運転席のBは急ブレーキを踏みやがった。
弾みで頬を運転席の背もたれにぶつけてしまった。ちくしょう、舌噛んだ。
「な、ん……し、しん」
「動かないでください」
切っ先を後ろからBの首に突き刺した。
軽く皮膚を切っているからか、Bは暴れることはなかったが、震えていた。
「まあ、大丈夫だと思いますが。もしも抵抗すれば、すぱっと行きますからね。もう5ミリほど入ってます。痛いでしょ?あと5ミリ刺されば出血多量にはなるんじゃないんですか」
予想でしかないが。間違っていることこの上ない。なのに、命を握られているとあってかBは分かったと抵抗することはなかった。


