肩からかけていたために、一緒に詰め込まれたボストンバックが背中に当たるので地味に痛い。
「大人しくしろよー、すぐに気持ちよくなっから」
「薬漬けでー、でろんでろんでー、一生俺たちの奴隷なっ」
ライヴでノリノリな奴みたいだ。またがる男――名前知らないからAが、僕の袖をめくった。
何をするかと思えば、注射器を取り出している。
「って、お前、出すなよ!薬やんだからさっ」
車の発信でバランスが崩れたA。助手席の背もたれに手をつけて、注射器を落としたらしく、下を覗き手探りをしていた。
「……た」
「あ?」
「死んでもいい奴、みーつけた」
小狐丸はポケットにあったために、難なく取り出せ、体勢が崩れているAの喉を刺せた。


