消えない、と。
頭でも打って、記憶喪失でもしない限り、僕は常に“あの時”と居続ける。
死にたかった、僕は。全部、忘れたいから。
――ああ、なんかこう思っても、実感が湧かない。
見えるのに掴めない雲みたいだ。
仕方がないだろう。今までの僕を覆すような事実なんだから。
奥深くに保管した、考えもない事実は、身に覚えがないながらも心を揺るがす。
知らずに知らずに、誰かを殺して、罪があからさまになり死期を縮めていたのは殺されるためだというのに。
その行動さえも、見事なへなちょこぶりだ。
無差別に白昼堂々殺せばいいのに、夜に密かに、死んでも構わない奴ばかりを狙う。
何もかもが中途半端だ。
殺そうという殺意を持っても、自業自得な奴にしか向けられない。


