「なんだ、人間か」
「幽霊でも期待していましたか」
僕の返答に、女性は軽く眉を寄せた。
見間違いかと思ったが、女性は白髪だった。黒いとんがり帽子から出る長い白髪は、おばあちゃんでもなかなかに拝めない白さ。
かといって、女性が歳をくっているわけではない。三十代にもなっていないだろう。
「お前……見ていたよな」
「えっと、見てた場合は何をされるのでしょうか」
「別に何も」
「ならあなたを信じて正直に答えます。見ました、変な生命体を。テレビ局に持っていけば、その日のニュース内容を変更できるほどの生命体をあなたが倒したのを」


