背中を向けた。


なかなかにいい言葉だ。


利口に生きていくための知恵と言うべきか。年長者の意見だ、もしかしたら、見かけによらず歳をくっているのかもしれない。


死にたくなかったら、人を殺さないこと。

幸せに生きたいなら、静かに暮らすこと。

楽に死にたいなら、自殺すること。


どれもあえて踏み潰す僕は、マゾ属性でもあるのか。


僕の願望の対岸にいるんだ、それらは。

殺しはやめない、静かには表向きだけ、自殺は予定に入れていない。


誰もいなくなったところで、ジャージを脱いだ。血が染み付いたこれは、またゴミ箱行きだろう。


――喉に異物があがる。


派手にやりすぎた、人食を見たためか、吐き気の波が上がってきたらしい。