男が僕の右手を――持っていた小狐丸を見た。
「凄いね、それ。殺傷に関してだけ特化した武具」
「まあ、刃ですからね」
「いやいや、“凶器”というカテゴリでは陳腐だよ。“兵器”だ。ただでさえ、殺傷の神秘術が込められているのに、長い年月を経て、血を蓄積したか、意思がある呪物にも近い」
「これ、生きているんですか」
確かに、先生からは殺意を喰うとか聞かせれていたが……うわー、オヤジ風な意思じゃないのを祈る。
「生きているというか、機械の意思みたいなものかな。無機質な意思。エネルギーがないから補充するために、移動するような感じ」
名前は忘れたが、丸い掃除機ロボがゴミある方へ行くのと同じことか。
「そこまで、強い殺傷兵器はもはや奇跡だ。俺でさえも、それに傷つけられたら、再生するのに時間がかかるだろうね」


