「んー、喋りたかっただけかな。久々に人間以外の人を見つけたから」 「……、僕は人間です」 「みたいだね」 人懐っこい笑顔は、犬を思い出した。撫で撫でしたくなるが、男なのでやめておく。せめて女ならいいのに。 「受け答えしている内に分かった。何というか、君を見た時、並々ならぬ力を感じてね」 「周りにオーラまとって、毛を逆立たせる力はないです。ただの人間ですよ、僕は」 「そうだね。俺の勘違いだった。力――というか、神秘術の塊を君は持っていただけ」