いつもなら、電波さんで済ますが、魔法使いにあった身としては、半信半疑ながらも信じてしまう。
「吸血鬼ではないんですか」
「吸血鬼の劣化。常に空腹で、魔術を使うにしてもすぐにエネルギー切れになるような種族が吸血獣と呼ばれるらしいよ。ある魔女の受け売りだけど」
「神影千聖って、知ってますか」
「誰かな?」
魔女とか言ったから知り合いかと思ったが、違うらしい。
こうも連続に、ファンタジーに会うなんて、僕は運がいいのか、悪いのか。
「知らないならいいです。あ、食べていいですよ」
「ありがとう。助かるよ」
死体側で膝をつく男は手始めに、指に血をつけてそれを舐めた。
貪るかと思えば、案外上品だ。ごちそうがあれなだけに、グロでしかないが。


