早口小声で聞き取りづらかったが、耳はきちんと機能しているわけで。
おっさんの変態ぶりを痛感した。
ほんと、痛い。このおっさん痛すぎる。
死ぬ前だから未練なく死にたいは分かるが、僕に、繰り返すがこの僕に一発やらせろという。
会ったばかりの自殺志願者にそんなことを頼むあたり、穴があれば何でもいいらしい。
「な、なあ、頼むよ……!死ぬ前に、さ……!」
「あー、イヤです」
「い、いいだろうっ。どうせ君も一緒に死ぬんだから。だから……、人助けだと思って!」
やらせる人助けとは何だろうか。
死ぬんだから何も怖くないらしく、おっさんはいきなりこちらに近づいた。
「いいだろうっ、いいだろうっ」


