証拠は残さない。あったとしても、『そういえばぁ』程度のうろ覚えであればいい。
人を殺すのはリスクがある。だからこそ、徹底的に自分の存在を影とする必要があった。
もっとも、かなり体力を使ったのは痛いけど。
隊長、もう歩けましぇん。などと、何度、肩で息をしたことか。
有声町山林であるとは分かったが、山林とは大雑把すぎる。麓にいるのか、はたまた奥にいるのか。手始めに麓を歩いているが、終わりが見えない。
釣り乙っ、と頭の隅が言い出し始めた。
「ったく……」
ほぼ八つ当たり気味に木を殴り、また進む。
適度に進んだところで、懐中電灯を振り回すことを続けた。


