白い子虎は、
もうすっかり元気だった。


「…はぁ~、可愛いわ。癒されるわ~、何なのアンタ。虎のくせに。」

私はうつ伏せに寝転ぶと、頬杖をついた状態で、白い虎を見つめていた。

虎は、食事中。

アグアグ…、
そんな擬音が付きそうなぎこちない食べ方で、牙の覗く口からポロポロと食事を床に落とす。

それがまた可愛くて、
いつまで眺めていても飽きないわ。


「…そんなに見られたら、虎だって食べ辛いだろ?揚羽は自分の食事をしなさいって…」

蓮は最近、私の家によく来る。
今も少し離れたテーブルセットに行儀良く座って、私に呆れながら食事をしている。


「…ふふ。でも分かるわ。あの子、可愛いもの…」

蓮の横でそう穏やかに私たちを見ている女性は、蓮のお嫁さんである美玲さん。

蓮はどうしても私と子虎の事が気になるらしく、監視したいが為に美玲さんまで「秘密」に巻き込んだ。


「…今のところは大丈夫みたいだけど、これから虎は大きくなるんだよ!?美玲まで虜になるなよ…。どうするのさ、それ。」

「…どうって?」

「大きくなったら家の中で飼えないし!食事だって!すぐそこに僕の牧場もあるってのに!あぁ、心配…」